近い将来、告白するときに髪の毛を渡すようになる?

SF(サイエンス・フィクション)が好きである。
好きであるがあまり、勢いあまってSF小説のようなものを書いてしまった。

1000年先の未来からやってきた日本人と夫婦別姓について対談した(前編)
1000年先の未来からやってきた日本人と夫婦別姓について対談した(後編)


SFの要は、未来の科学技術がどうなっているかを、ある程度のリアリティをもって予想する点にあるが、よく考えると、知財部の仕事と似ている。知財部の仕事は、将来使われると予測される自社技術の権利を取っておくことなのだ。

だから、知財部たるものSFに興味が無くてどうする、と思う。


ところで、SFというと、技術の進歩がフォーカスされがちだが、僕はそれよりも、技術の進歩によって人間の価値観、習慣、思想がどう変わるのか、という方に興味がある。


ガタカ」という映画がある。

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NASAにより、現実的なSF映画1位に選ばれた映画だ。

この映画では、技術が進歩して、誰でも気軽にDNA鑑定ができるようになった世の中が描かれている。
婚約相手の身辺調査として相手の髪の毛を入手し、不適正遺伝子の保持者でないかを確かめる。企業は、遺伝的に優れた人間を採用するために、採用候補者の遺伝情報を入手する。
結果、不適正遺伝子保持者が差別される「遺伝子による差別」が起きるようになる。
そんな世界を、不適正遺伝子保持者である主人公が、適正遺伝子保持者になりすまして生き抜く映画だ。

僕が印象に残っているのは、主人公の男に恋心を抱く女が、自分の髪の毛を男に渡そうとする場面である。「これで私のことを調べて」、と。
「私は、あなたに遺伝情報を知られる覚悟がある。それほどあなたのことが好きなのです。」という意思表示だ。
僕はこのシーンを見て、素直に関心した。「たしかに、こんな世界が来るかもなぁ」、と。それほどリアリティをもって描かれていた。良いSF映画である。

告白するときに、自分の髪の毛を渡す ・・・そんな世の中が来るかもしれない。


ちなみに、映画「ガタカ」では、髪の毛を渡された男は「風にさらわれた」と言って髪の毛を手放してしまう。

そう、本当に相手のことが好きなら、遺伝情報なんて関係ないのだ。